江戸時代のベストセラー和算書『塵劫記(じんこうき)』には、現代の測量士や数学者も驚くような実用的な図形の知恵が満載です。今回は、木こりや大工が切り倒す前の大木を前にして使っていた、「木に登らず、離れた地面から一瞬で高さを測る方法」をご紹介します。
【問題】木に登らずに高さを知るには?
目の前に、見上げるほど高い1本の杉の大木があります。
この木を切り倒したいのですが、安全のために「木の正確な高さ」を事前に知る必要があります。
手元には、巻き尺(メジャー)と、正方形の紙(折り紙や半紙)が1枚あるだけです。
Q. 木に登ったり、長いハシゴを使ったりせずに、地面の上を少し歩くだけで木の高さを測るにはどうすればよいでしょうか?
【問題:木に登らずに高さを測るには?】
手元にあるのは正方形の紙1枚と巻き尺だけ…
解答・解説はこちらをクリック
【解説:直角二等辺三角形の性質「1:1」を使う】+
【答え】
正方形の紙を斜めに折って「直角二等辺三角形(45度)」を作り、斜辺を目に当てて木を見上げます。
木のてっぺんがピッタリ重なる位置まで後ろに下がったとき、「自分の足元から木の根元までの距離 + 自分の目の高さ」がそのまま木の高さになります。
【解説:直角二等辺三角形の性質「1:1」を使う】
【解説:45度の視線がつくる直角二等辺三角形】
45度で見上げると「横の距離(A) = 目の高さからの木の高さ(B)」になります
ステップ1:45度の三角定規を作る
正方形の紙を対角線で半分に折ると、角の大きさが「45度・45度・90度」の直角二等辺三角形ができます。
直角二等辺三角形の最大の特徴は、「底辺の長さ」と「縦の高さ」が完全に同じ(1:1)になることです。
ステップ2:木を見上げて位置を決める
折った紙の底辺を地面と水平に保ちながら、斜めの辺を目に当てて木を見上げます。
そのまま前後に歩き、斜めのラインの延長線上に「木のてっぺん」がピタッと重なる場所で立ち止まります。
このとき、あなたの目・木のてっぺん・幹の間に、巨大な直角二等辺三角形ができています。
- あなたから木までの水平距離(A)
- あなたの目の高さから木のてっぺんまでの高さ(B)
この2つは直角二等辺三角形の性質により、まったく同じ長さ(A = B)になります。
ステップ3:地面を測って足すだけ!
あとは、自分の足元から木の根元までの距離を巻き尺(歩幅でも可)で測るだけです。
- 地面の距離が 10m だった場合
- 目の高さから上の部分も 10m
- 自分の目の高さが 1.5m なら、
- 木の高さ = 10m + 1.5m = 11.5m
木に1ミリも登ることなく、地面を測るだけで正確な高さが導き出せます。
江戸の面白エピソード:道具がなければ「股のぞき」!?
『塵劫記』には、紙などの道具すら使わずに木の高さを測るユニークな方法も紹介されています。
それは、木に背を向けて立ち、体を前に深く前屈させて「自分の股の間から木を見上げる(股のぞき)」という方法です。
人間が股の間から無理なく見上げる角度はおよそ45度になるため、木のてっぺんが見える位置まで離れると、紙を使ったときと同じように高さを割り出せると伝えられていました。
道具が揃っていなくても、身の回りのものや自分の体を使って幾何学を使いこなす。まさに江戸の庶民の知恵とユーモアが詰まった名問です。
頭の中で図形を回転させたり、見えない線を補う「空間認識力」は、大人になっても鍛えられます。画面上の計算だけでなく、実際に木の手触りを感じながら頭をフル回転させるパズルも、大人の最高のリフレッシュになります。
頭の中で図形を組み立てる感覚は、大人になっても鍛えることができます。PCやスマホから離れ、木のぬくもりに触れながら無心で脳を活性化させてみませんか?
➔ 大人の脳トレに最適!インテリアにも映えるハナヤマの木製パズル「かつのう」&くもんタングラム徹底比較はこちら(https://mathimatika.com/本屋さんでスルーしてない?幼児教室で子どもが/)」

